子どもの過食・食べ過ぎの原因と対策として考えたい「夫婦仲」について

食卓コミュニュケーション
この記事を書いている人
山口健太
食べない子専門の食育カウンセラー

「人前での食事ができない」という会食恐怖症の当事者経験から、カウンセラーとして年間延べ1000人以上の相談に乗る一方で、実際に食育に力を入れている学校や保育施設に出向き、500人を超える子どもたちと交流し「食べない子への食べさせ方」を研究。

多くの食育に悩む保護者や教育者から相談が届くようになる。著書に『食べない子が変わる魔法の言葉(辰巳出版)』などがある。

「子どもの過食、食べ過ぎで困っている。」

「直接注意治らないし、色々な原因を探してみたけど、ピンとくるものがない・・・。」

今回の記事はそのような方にオススメです。

多くの方にとって、意外な「盲点」となっている原因についてお伝えしていきます。

子どもの過食の原因として一般的に挙げられること

一般的な過食の原因として挙げられるのは、
・ストレス
・愛情不足
・食事メニューが悪い

というのが主なところです。

しかし、この原因にあまりピンと来るものがなかったり「ストレスと言っても具体的にどんなことだろう?」と、あまり腑に落ちない親御さんもいるでしょう。

そんな方に私は「夫婦仲、家族仲はどうですか?」という事を質問したいです。

なぜなら、夫婦仲(家族)と過食には深い関係があるからです。

具体的に言うと「夫婦仲が悪かったり、夫婦喧嘩が多いと、子どもは過食になることがある」のです。

ここで多くの方は「子どもにストレスが溜まるからでしょ?」と思うかもしれませんし、それはたしかに一部的には正解です。しかし、もっと深い理由もあるので今回はそれについてお伝えします。

夫婦仲や家族仲はどうか?という視点

「夫婦仲が悪いと子どもは過食になる事がある」

ここまであまりピンと来ない方もいるかもしれませんので、ここから詳しく解説していきます。

これを理解するのには「つまらない飲み会」を想像してみてください。

たとえば「自分の話ばっかりしている人が居る」とか、「知らない人ばかりで会話が弾まない」とか、そういった飲み会が多くの人にとっては分かりやすいかと思います。


そしてそのような時に、人がとる無意識の行動のパターンがいくつかあります。

一番分かりやすいのは「つまらないからすぐ帰る」とかですが、他の1つに「食べる事に集中する」という無意識の行動パターンがあります。

つまり、「話を聞いてもつまらないから、とりあえず飲んだり食べたりする事に集中しておけばいいや」みたいな感じですね。


そうすると、食は進んだとしても、心は満たされません。

心が満たされないから、もっと食で心を満たそうとして箸が進み、過食や食べ過ぎになるのです。

子どもの意識の向けどころがどこになっているか?

一方で、逆のパターンもあります。

これは、同時に2つの事をする能力にまだ長けていない子どもたちによくあることですが、「話に夢中で箸が全然進んでいないのに、話に満足してもう食べなくてもいいやー!楽しい時間だった!」という気持ちになるという現象です。

これは、会話などで心が満たされているからこそ、起きる現象でもあります。

要は、食事には体の栄養を満たす役割だけではなく、心の栄養を満たす役割もあるということです。別の言い方をすれば食事で本当に大切なのは「満腹感」ではなく「満足感」ということです。

日本の食卓では「お腹いっぱいになった?」といったコミュニュケーションが多くされるので「お腹を満たす事だけ」が重視されてしまいがちです。なので、特に注意が必要かと思います。


そして「食卓での満足感」という視点で見た時に「子どもの過食、食べ過ぎで悩んでいる!」という親御さんに「夫婦仲はどうですか?」と質問をしたいのです。


みんなが揃っている食卓において、子どもたちが目を背けたくなるような、ネガティブな会話の往復になっていませんか?


あるいは、保育園や学校での給食の場合でしたら、子どもたちが安心して過ごせる環境を提供できているでしょうか?その子にとって一緒に楽しく過ごせるお友達はいますか?ご家庭での様子は先生視点でどう見えるでしょうか?

食卓では前向きな言葉を掛ける

もちろん大人とはいえど人間ですから、全てを完璧にすることは難しいと思います。

ですが、心持ちとして「なるべく食卓では前向きな言葉を掛けよう!」という気持ちがあるのかないのかでは、全然違います。

具体的にどのような言葉をかけたら良いかなどは、「無理やり禁止!給食指導で好き嫌い(偏食)や食べ残しを克服してもらう7つのポイント」や「なぜ、子供の偏食(好き嫌い)は起きる?家庭で工夫すべき7つのポイント」の記事を参考にしていただければ幸いです。

また今回は、「夫婦仲」と「子どもの過食や食べ過ぎ」の繋がりという点にフォカースしましたが、逆にそれによって「ごはんを食べない(食が進まない)」というパターンもよくあります。こちらは食パンマンタイプの子に多い現象です。(cf.「4つの子どものタイプとそれぞれに合わせた食事指導の仕方

要は「つまらない飲み会を避けたり早く帰る」ような感じで、食卓に向かいたくないし、食べたくもない。「拒否」という反応の形ですね。

当然、そのような子達に「いっぱい食べなさい!」「なんで食べないの?!」と怒ることはさらにその食卓に向かわせる気を失くすので逆効果です。


食卓での前向きな言葉かけは、その子たちの安心感につながります。

安心感は信頼関係の基礎ですし、そういう関係を築けているからこそ、たまの「こうしたら良いんじゃない?」という大人のアドバイスに対して、「(きっとお母さんは僕のためを思ってくれているんだ!)わかった!」という、心からの言葉が返ってくるのです。

最後に

いかがでしたか?

私が親御さんの相談に乗る時に一番大切にしてもらうことは「お子さんの状態に関わらず、親御さん自身がまず幸せな毎日を過ごす事」です。

なぜなら、お母さん(お父さん)が幸せならば、子どもたちも幸せいっぱいな気持ちになるからです。


今回の記事を読んで何か考えされられた、気づきになったという方は、ぜひ「なぜ、子供の偏食(好き嫌い)は起きる?家庭で工夫すべき7つのポイント」の記事も読んでみてください。


少しでも参考にしていただき、あなたの抱えている問題が晴れる、きっかけに少しでもなれば幸いに思います。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。

なぜ、子供の偏食(好き嫌い)は起きる?家庭で工夫すべき7つのポイント

2018.06.17

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