今回の記事では、小学生の偏食がテーマです。
食べない子について話しているときに、
「そのうち食べられるようになるから大丈夫だよ!」
という大人から出てくる言葉があります。
確かに、
そのうち食べられるようになる子も多いです。
しかし、
偏食(極端に食べられるものが少ない)の場合に限っては、
この言葉を鵜呑みにするのはとても危険です。
なぜなら、本当ににそのまま、
食べられるものの種類が増えずに、
大人になるというケースもあるからです。
では、どうすれば良いのでしょうか?
今回の記事では、
「小学生になっても偏食が治らない子どもに大切な3つのこと」
や、
小学生以上の偏食で悩むお母さんからよく届く質問を取り上げた内容を書いていきます。
目次
1.偏食は年齢が上がるほど治りにくい?
まず、一般的に偏食というのは、「極端に食べられるものが少ない場合」のことをさします。
たとえば、
食べられる食材の品目が20品目以下で、
お米、うどん、麺などの炭水化物やお菓子ばかり好んで食べる…。
野菜に関しては、
イモ類以外はほとんど食べれないなどが、
いわゆる偏食の子に多いタイプの傾向ですね!
そして、
偏食は年齢が上がれば上がるほど、
治るのに時間が掛かると言われています。
「では、治らないか?」というと、
そういうわけではありません。
私の偏食改善のカウンセリングを受けるのは
小学生以上のお母さんも多いのですが、
乳幼児の小さい子よりも改善には時間が掛かっても良くなっていきます。
2.小学生以上で偏食が治らない子どもに大切な3つのこと
小学生以上で偏食が治らない子どもを改善してくために大切な3つあります。
それは、
- 苦手なものも食卓に並べる
- 偏食の原因を正しく認識する
- 見た目をとにかく意識する
という3つです。
具体的に見ていきましょう。
2-1.苦手なものを食卓に並べる
まず大切なのは、「食べる事には期待しないで、とりあえず食卓に並べてみる」
というものです。
これがなぜ有効かというと、子どもはほんのきっかけや気分次第で、
「ちょっと口つけてみようかな?」
というタイミングがあるからです。
一方で、
「きっと食べないだろうと思って、食卓に並べなくなる」
と、食べられるようになるきっかけすら無くなってしまいます。
ですから、まずは並べることから始めてみましょう。
食卓の2割程度は、苦手なものを並べてOKということにしてください。
もちろん、無理に食べさせる必要はないので、
「並べて見せて目を慣らしていく」くらいの心持ちで最初はいましょう。
とはいえ、
「苦手でも手がつきやすいものと、手がつきにくいもの」があります。
どういった苦手なものから、食卓に並べ始めると良いでしょうか?
2-2.偏食の原因を正しく認識する
ここで大切なのが「なぜ、食べないのか?」をしっかりと踏まえることです。
偏食を改善するには、
原因を正しく認識することが大切ですが、
偏食の原因は主に以下の7つがあります。
- 見た目で(記憶)から判断
- 味が濃くて食べられない
- 味が薄くてまずく感じる
- 口に入れた感じが気持ち悪い
- においを強く感じてしまう
- 周囲環境が気になり集中できない
- うまく噛めない・飲み込めない
(あくまで私の分類の仕方です。)
まずはこの中で、
「うちの子はどれなのか?」
と正しく認識することが大切です。
ちなみに原因は1つではなく、複数ある場合が多いです。
2-2.とにかく見た目を意識する
そして、小学生以上の場合は、「見た目」が必ずと言っていいほど、
判断基準の1番手になっています。
以前、
「なぜ、子供の偏食(好き嫌い)は起きる?家庭で工夫すべき7つのポイント」という記事にも書きましたが、
例えば、
食べてみたときに味がものすごく不味かった(味覚の問題)
↓という経験があると次第に…
これは前に食べて不味かったものだから食べないようにしよう(見た目の問題)
というように、なっていくのです。
小学生ともなると、
ある程度時間大きくなっているわけですが、
そうなってくるとほとんど「見た目」が1番の判断基準となっても良いでしょう。
ですので、苦手なものに挑戦させる際は、
「見た目」を「今食べられるもの」に近づける形を意識することが大切です。
見た目を食べられるものに近づける形にする方法の有名な1つに「みじん切りをして混ぜ込む」というものがあります。
一見、使えるノウハウのようにも思えますが、実はこれは毒にも薬にもなり得るノウハウなので注意が必要です。
なぜなら、みじん切りをした場合は、見た目から判断して食べているわけで、自分から苦手な野菜に挑戦したという感覚があまりないからです。
もちろん、みじん切りの全てが悪いわけではありません。
大切なのは「これ、苦手なお野菜入っているけど、その味がしないから食べてみて?」と、事前に伝えているのかどうかです。
このコミュニケーションがある場合は、「自分から苦手な野菜を食べた」になります。
一方でもし、
・何も言わずにバレた場合→信頼関係が下がり、新しいものに警戒するようになる
・それによって味が子どもが想像していたものと違う場合→今まで食べていたはずの、その料理も食べなくなる
ということが起きる可能性があります。
3.どんなレシピなのか?はそこまで重要ではない
一方で、偏食の改善となると、調理やレシピを工夫することが
一般的に挙げられると思います。
しかし、実際のところは、
これらはそこまで重要ではありません。
もちろん、
「食べられそうなものから苦手なものに挑戦させていく」
ことが大切ですから、
「食べられそうなものを調理する」という意味では重要です。
しかし、レシピの工夫よりも大切なのは、
コミュニケーション(言葉かけや提供の仕方)なのです。
たとえば言葉かけというのは、
「無理やり食べさせる」のではなく、
食材に興味を持たせるような声かけをすること。
具体的には、
・「このお野菜、どんな味がするか知っている?」
・「これいつも食べているやつと違うやつなんだよ〜」
・「苦味を消してみたんだけど、ちょとだけかじって感想教えてくれない?」
などです。
提供の仕方は、
まずは先にも挙げたような食卓に
苦手なものを並べ始めることも1つです。
また、それだけではなく、
たとえば混ざっているものが苦手な子の場合は、
最初は普通の形で提供してみて、やっぱり食べないことを確認したらその場で食材を分けてあげます。
【食べない子が食べられるようになるヒント】
— 山口健太@楽しく食べるが一番大事! (@kaishoku123) September 22, 2019
同じ料理でも混ぜこぜにしないで整理整頓してあげると食べることがあります。#偏食 pic.twitter.com/AFn7FuQsgA
他にもたとえば、
鳥のから揚げは食べられるけどカボチャが苦手な子がいたとします。
そうした場合は、
まずはカボチャ料理を並べた後に、
やっぱり食べないことを確認したら
「食べやすいようにから揚げにしてみたよ〜。気になったら一口食べてみて」
と言って、カボチャのから揚げを出します。
昨日食べたカボチャの唐揚げ。
— 山口健太@楽しく食べるが一番大事! (@kaishoku123) December 17, 2019
見た目的にカボチャが苦手な子どもでも食べられそう。
ここで大切なのは「これ、カボチャだけど美味しいよ」などと、先に苦手なものだと伝えてあげること。
それが無いと「思ってた味と違う!」となり、他の唐揚げすら警戒して食べなくなることがある。#偏食 pic.twitter.com/fezDnOrZwM
ここでもしですが、
最初からカボチャのから揚げを出して、
子どもがカボチャだと思わずに食べてびっくりした場合、
先に書いた「みじん切りの注意点」同様、
今まで食べていたから揚げ自体も警戒して食べなくなることもあります。
ですから、
調理の工夫やレシピが重要なのではなく、
コミュニケーションの取り方が一番大切なんですね。
この点、大切にされてくださいね!
4.よくある3つの質問に答えてみた
以下より、小学生以上の偏食の子どもを持つ(あるいはこれから小学生に上がる偏食の子どもを持つ)お母さんからのよくある3つの質問
を取り上げて回答いたします。
4-1.「給食はどう乗り切るでしょうか?」
小学校の場合は必ず給食がありますから、それが心配なお母さんは多いです。ここで一番大切なのは、担任の先生にしっかりと説明をして、理解をしてもらうことです。
先生の中には「偏食は好き嫌いをしている子どものわがままだから、挑戦させて食べさせて克服することが大切。」という考えを持った方もいます。
また、先生自身がそこまでは思っていなくとも、学校自体が残食に厳しいルールだった場合に「残さず食べること」をつい強要してしまうこともあります。
ですから、しっかりと説明をするようにします。
もし、
うまく説明ができそうにない。
したつもりなのに、強要されている。
そう言った場合には、
しっかりと資料を用意しながら、説明をする必要があるかもしれません。
その時に私は、「3つのお手紙」と読んでいる「資料」を用意することをオススメしています。
- 1つ目は、「過剰な完食指導によって、不登校や会食恐怖症になってしまうことがある」という内容を伝えた報道記事です。報道記事というのは、お母さんでもなく、先生でもなく、記者さんが客観的に書いたものなので、きちんとした情報をお伝えする際にも役立ちます。
- 2つ目は、文部科学省が発行している『食に関する指導の手引(第二次改訂版)』234ページの「健康に関係した個別性の高い課題」について改善を促すための指導上の留意点」の部分です。(こちらはインターネット上で無料閲覧することができます。)
- 3つ目は、通称「我が子の食の取説(B5形式1枚)」です。つまり、「うちの子は、こうすると食べられます。こうすると食べられなくなります。」と、分かりやすく文章で説明したものをお渡しするようにします。先生も食べられない子に対して、どうやって対応すれば良いのかが分からずに、つい「食べなさい!」と強く言ってしまうケースがあるので、いつでもみれる形としてあると役立ちます。
4-2.「専用のお弁当を作るべきですか?」
またあまりにも給食で食べられるものが少ない場合に、「専用のお弁当を作るべきかどうか?」
という悩みや、
実際に現在進行形で作っていて
「ずっと作り続ければいけないのか」
という悩み相談が多くあります。
極端に食べられるものがない場合、
「その子専用のお弁当」を作るのはファーストステップとしては良いと思います。
ですが、ずっとそれを続けるのではなく、
「お弁当なら学校で安心して食べられる」
ようになってきたのであればセカンドステップに進むのが理想の形です。
「セカンドステップとは何か?」
ここが大きなポイントなのですが、
それはズバリ、
「お弁当を持っていきつつも、みんなと同じ給食も少量でいいから提供してもらう」
ということです。
なぜなら、
先にお伝えした通り、
・苦手なものでも食卓に並べてOK
・食べてみようかな!のタイミングは突然に現れる
・そのタイミングの時に料理がなければ一生食べない
からですね。
もちろんここで大切なのは、
「食べてなくていいという前提がある」ということです。
ですから当然、
担当の先生との信頼関係が必要にもなります。
「お弁当の量を次第に少なくしていきながら、給食も少しずつ提供」
していくことで、次第に専用のお弁当を卒業できていく可能性が上がりますよ!
4-3.「お弁当にも苦手な食材を入れた方が良いですか?」
また、これは小学生以上に限ったことではないですが、「お弁当にも苦手な食材を入れた方が良いですか?」という質問もよくあります。
私はこれに関しては、あまりオススメしていません。
お弁当の場合は「好きなもの・子どもが食べられるもの優先で良い」という考えです。
なぜかというと、
お弁当というのはどうしても冷めてしまうものですし、
形が崩れたりとか他のものと混ざったりなど、
苦手なものには挑戦しにくいコンディションなのです。
また、メンタル的な面からもオススメしません。
お母さんも、
朝早く起きて作ったお弁当に残食が多いと
あまり良い気持ちはしないと思いますが、
子どもも「お弁当はなるべく残したくない」と感じているものです。
なので私は、お弁当は「食は楽しいもの!」と
体験してもらう1つのツールのようなものに捉えて、
苦手なものを積極的に入れることはあまりオススメしていません。
苦手なものは、
ある程度お家の食卓で食べられるようになってからお弁当に入れるようにしましょう!
5.最後に
いかがでしたか?最後に偏食を克服するためには、もう1つ大切なことがあります。
それは、好きなものからのカロリー摂取量を少しずつ減らすということです。
特に偏食の子は、炭水化物やお菓子類は好きだと思いますが、これらの摂取量を少しずつ減らしていくことが大切です。
なぜなら、それだけでカロリーが摂取でき、お腹が満たされてしまっていれば、そもそも苦手なものを食べる理由がなくなってしまうからです。
ポイントはいきなり減らすのではなくて、少しずつ減らしていくことです。
その上で試してみてくださいね。
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