先日、保育園で働いている読者さんから「食べるのが遅い子にはどう対応したら良いですか?」という質問が届きました。
当然、「早く食べなさい!」と言って、実際に早く食べれるようになれば解決するわけですが、そうはいきません。(むしろ、子どものタイプによっては逆効果にもなりえます。)
ですので、今回の記事では「食べるのが遅い子の対応」について、4つの子どものタイプを紹介しながらお伝えしていきたいと思います。
目次
相談者さんからの質問
まず最初に、届いたのはこのような質問を以下に掲載です。ですが、担任の先生でも保育士でも無い自分がどうやってその子と関わって、どうやって声をかけていいのか悩んでいます。おやつだけはたまに美味しそうに食べてくれるのですが、どう見てもお昼時間が苦手なように感じます。
自分も食べることが苦手だった過去があり、これらは経験してないと他人と食事する事の難しさは理解しずらいと思います。少しでもストレスなく食事をさせてあげために自分はどうすべきでしょうか?
子どもには4つのタイプがある
まず抑えておきたいのは、子どもたちには大きく分けて4つのタイプがいるということです。これは、私が親御さんや保育士さんにアドバイスしているものですが、分かりやすいようにアンパンマンの主要キャラクターでタイプ分けており、
- ドキンちゃんタイプ
- 食パンマンタイプ
- カレーパンマンタイプ
- アンパンマンタイプ
という4つのタイプです。
(本来はもっと細かく分けられるのですが、複雑になりすぎないようざっくりと4つに分けています。)
そして実は「このどのタイプなのか?」によって「どういう時に食欲が湧くのか?」や「どういう言葉かけをすれば食べてくれるか?」が変わってくるのです。
もう少しこのタイプ分けを詳しく解説します。
タイプ1.ドキンちゃんタイプ
ドキンちゃんタイプの子は、どちらかというと感情的です。ドキンちゃんのように「好き」や「嫌い」もハッキリと表現する傾向にあります。
基本的に明るくて、よくしゃべり、よく笑います。アイドルみたいな感じですね。
こういうタイプの子は、もともと食べるのが好きなのですが、プレッシャーを与えて緊張感が増すと、胃袋が拡張して、さらに食欲が湧く傾向にあります。
なのでたとえばよくありがちな「いっぱい食べようね!」「残さず食べれるかな?」と言った言葉掛けでも、いっぱい食べてくれます。
タイプ2.食パンマンタイプ
食パンマンタイプの子は、感情を表に出さず内側に溜める傾向があります。なので、あまり好き嫌いの表現を表に出すことはしません。優しく謙虚で聞き上手、気配り上手と言った感じです。
また、追い詰められて限界になると、シクシク泣き出してしまうこともあります。
こういうタイプの子は、食べること自体は好きな方なのですが、緊張すると胃袋が小さくなってしまうので「残さず食べようね!」などとプレッシャーを与えることは逆効果です。
それよりも「嫌いなものは無理しなくて大丈夫だよ〜」というように、安心させてあげることでリラックスして食欲が湧くようになります。
人がたくさんいるところもあまり得意ではなかったりするので、そもそも給食などでみんなで食べるのが元々あまり得意ではないのです。
タイプ3.カレーパンマンタイプ
カレーパンマンタイプの子は、負けん気が強いタイプで勝負事が好きです。声が大きかったり、我慢強い傾向もあり、ちょっと喧嘩っ早い側面もあります。番長気質、ガキ大将気質といったら分かりやすいかと思います。
また、弱いものには情がわき、実は優しい側面もあります。
こういうタイプの子は、緊張に強く負けず嫌いでもあるので「○○くんと、どっちがいっぱい食べられるかな?」などとプレッシャーを与えるような言葉掛けでも、むしろそのプレッシャーを楽しみ食べられます。
タイプ4.アンパンマンタイプ
アンパンマンタイプの子は、誰にでも優しい精神を持つ子です。身体的な特徴としては、目鼻立ちがくっきりしている事も多いです。
カレーパンマンタイプの子がガキ大将気質に対して、こちらは誰にでも面倒見が良いリーダー気質といった感じです。
こういうタイプの子は、困っている人を助けてあげたくなるので、周りでご飯を食べていない子がいると、自分を差し置いてそれを心配してしまったりもします。
緊張に弱いという事はないですし、みんなと一緒が好きなので、給食の際などにそこまで神経質になる必要はありません。
ここまで大切な事
以上が4つのタイプ分けとなります。つまり、実は「その子がどんなタイプか?」によって、適切な言葉掛けが違うのです。
特に「給食をあまり食べない子」「食べるのが遅い子」は食パンマンタイプの子である事が多いので、そういった場合は「早く食べなさい!」というような言葉掛けは、逆効果である事が殆どで「いかにリラックスして食べてもらえるか?」が大切になります。
これらを踏まえた上で、3つ段階に分けて大切な事を書いていきます。
食べるのが遅い子の対応3つのステップ
分かりやすくするために、3つのステップに分けて対応をお伝えします。それは、
- 食事は楽しいものというイメージを作る
- 子どもに合わせ食べる量を調整する
- 食べ終わる時間を意識させる
という3ステップです。
1.食事は楽しいものというイメージを作る
まず、大切なのは「食事(給食)は楽しいもの」というイメージを作るという事です。前述した通り、食パンマンタイプの子は、そもそも人がいっぱいいる所で食べるのが得意ではなく、特にその環境に慣れるまでは食べられない事も多いです。
なので、その時に責めたり、プレッシャーを与える事はもちろん逆効果です。
それよりも「ここだと安心できる」という風に、いかに思って貰えるかがポイントです。
そのための指導法について詳しくは「無理やり禁止!給食指導で好き嫌い(偏食)や食べ残しを克服してもらう7つのポイント」を読んでみてください。
2.量などを調整する
また、体の大きさは子どもたちによって違いますし、同じ子どもでもその日の体調なども違います。なので、それに応じて量を調整する時間を設けた方が良いです。
良い事例としてこのブログでも紹介している「さくらしんまち保育園」さん(こちらはセミビュッフェ形式)や「富士みのりこども園」さんなどはもちろん、子ども達が元気にご飯を食べている保育園さんで「その子に応じて量を調整する」というのは当たり前のようにやっています。
3.食べる時間を意識させる
そして、それが出来ている前提の上で「食べる時間」というのを意識させてみましょう。具体的には「今日は何分までに食べ終わろうね!」という風に最初に提示します。もちろん、その時間に食べ終わなかったとしても、無理に食べさせたり居残りさせる必要はありません。
ポイントは「いつも食べる時間を30分間にする」などではなく、その日の献立(メニュー)によって少し伸ばしたり調整するという事です。
「早く食べようね!」と直接言わなくても「時間を意識して食べる」という事を普段から練習していけば、徐々にその時間内に食べれるようになっていきます。
栄養士(調理士さん)と保育士さんとの連携を取るべき理由
今回の質問者さんの場合は、調理士さんという事でした。そういった場合はやはり、いかに保育士さんと連携を取るかが大切です。
実際、やはり子どもたちが元気に給食食べる保育園では、その連携を欠かさないのです。
たとえば、「さくらしんまち保育園」では、職員総出の月1回の給食会議というものがあったり、「富士みのりこども園」でも普段の行事などから密に関わっています。(どちらも事例記事で、それを紹介していますので読んでみてください。)
なので、結果的にそれが受け入れられるかは分かりませんが、それが子どもたちのためになる内容でしたら、どんな立場であろうと伝えるべき事は伝えるべきです。
伝え方としては、
「普段の給食の様子を見ていて、こういう事が気になっている」
「その子のためにこうした方が良いと思うのですが、どうでしょうか?」
という形が良いでしょう。
最後に
いかがでしたか?4つのタイプと3つのステップをお伝えしましたが、一番大切なのは普段の給食の時間で「給食(食事)は楽しいものだ!と思えるような時間になっているのかどうか?」というところです。
ぜひ、その部分を一番大切にしてみてください。
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