子供の少食は、親の過剰な心配やイライラが原因にもなる?

子供がごはんを食べない
この記事を書いている人
山口健太(やまけん)
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会理事長/心理カウンセラー/食事指導研究家

会食恐怖症の当事者経験から、カウンセラーとして年間延べ1000人以上の相談に乗る一方で、実際に食育に力を入れている学校や保育施設に出向き、活動開始から半年間で400人を超える子どもたちと交流し食事指導を研究。

また、日本全国の学校法人の管理者以上の方が購読している「週刊教育資料(教育公論社)」にて、「これからの学校給食における食事指導について」のコラム記事の連載経験があり、給食ハラスメントに関する報道について、専門家として複数回取材を受けている。

私のところには「子供が少食でなかなかご飯を食べなくて・・・。どうにかしてあげたいのですが、どうしたらいいでしょうか?」というような不安を感じている親御さんからの相談が届きます。

たしかにその気持ちは分かるのですが、「親の心配のしすぎが、更なる少食の原因になっているのではないか?」という風に思う事もあるのです。

では、なぜ親の過剰な心配(またはイライラ)が、子供の更なる少食を招くのか?

今回の記事では、私の子供時代の経験も交えながら、ここについてお伝えしていきたいと思います。

1.「心配のしすぎ」が更なる少食を招く?

なぜ、子供の少食を心配しすぎることで、更なる少食を招く可能性があるのか?

それは主に、
1.食欲を出すには「リラックス状態」が大切だから
2.親の感情は子供に移るから(情動伝染するから)

です。

もう少し詳しく、解説していきます。

1-1.食欲とリラックスの関係性

このサイトでは何度もお伝えしていますが、人の身体の仕組み上「身体が緊張すると食欲が湧かなくなる」場合があります。

これはつまり、食欲というのは一般的には「お腹が空いている(空腹)状態であれば、自然と出るものだ」と考えられていますが、実は違うということです。


食欲が出るには2つの条件が必要で、

それが、
(1)空腹中枢の優位(空腹状態)
(2)副交感神経が優位(身体がリラックスしている状態)

という条件です。

なので、いくらお腹が空いてしたとしても、家庭の食卓がリラックスできない環境であれば、子供の食欲は湧かないのです。

1-2.親の感情は子供に移るから(情動伝染するから)

そして、「感情」というのは人から人に移ります。

これは「情動伝染」と呼ばれたりしますが、「ミラーニューロン(共感細胞)」の働きにより感情もコピーするためです。


たとえば、満員電車に乗ったら、なんとなくイライラした気分になったりしますよね?

これも、他の人のイライラが自分に移ってくるからです。


さらにいえば、ポジティブな感情よりも、ネガティブな感情の方が約7倍ほど移りやすいとも言われています。


なので、親が不安で心配しすぎると、その感情は子供に移っていきます。

そして、そのような不安の中での食事では、身体はリラックスすることがなく、食欲は湧きません。

そうすると、さらに親は不安になっていき、さらに子供にもその不安が移り・・・。というような「負の循環」が起きていくのです。


そのような状態ではお子さんたちはとても、「食事が楽しみ!」という感情を持てませんよね。

2.私が子供だった時も・・・

そして私が子供の頃も、食事にあまり「楽しい」というイメージを持っていなかったように思います。

私の両親は頻繁に喧嘩をしていて、食事中もほとんど喋らないことも少なくありませんでした。私一人で食事をすることもありましたがそれは嫌ではなく、むしろ家族とともにする方が緊張してしまう、というような状態だったのです。


特に父とは、細心の注意と緊張感を持って接していました。当時の父は、何か不満な事が起きると怒鳴り始めたり、物にあたったりすることがあったのです。

そんな父がご飯を作ってくれたこともありましたが、たとえば炒め物の油が跳ねたりと何か小さなハプニングが起こるたび、父の怒った声と、物に当たり散らす大きな音が聞こえてくることも…。笑


ようやく料理が完成し、父に「うまいか?(うまいと言わないとキレるぞ!?)」と聞かれます。

そう聞かれたら、子どもの私でも気を遣って「…うん」と言わなければなりませんでした。

ですが、そのような緊張では、ほとんど味なんて分かるわけがありませんでした。当然、食欲が湧くはずもありません。

3.せかせかするよりも、ご飯を作り続ける事が大切

じゃあ、子供の少食を解決するにはどうしたらいいのでしょうか?

私がいつも相談を受けた時に、親御さんにアドバイスをするのは、「(子供が)食べなくてもいいから、ごはんだけは作り続けてください」という事です。

なぜなら、仮に食べないとしても、作り続けるということ自体が非言語の愛情表現になるからです。

それは、「あなたがどんなに悪い状態でも、私はあなたを見放すことは絶対にありません」という愛情表現です。

つまり、手作りのごはんというのは、仮に食べてくれなかったとしても、作って食卓に並べるだけでも効果があるのです。心の栄養が満たされていくわけですね。


そして、その積み重ねの結果、子供にとって家や食卓が安心できる場所ととなり、身体の緊張がほぐれてリラックスし、ようやく食欲が湧いてきて元気になっていくのです。

4.イライラするのは、期待をしすぎているから

そもそも、子供がごはんを食べなくて不安になったり、あるいはイライラしてしまうのは子供が悪いわけではないです。

親御さん自身の「作ったものは食べなければいけない」という考え方の縛りが強かったり、あるいは「食べて欲しい」という過度で一方的な期待をしてしまっているからです。


だから私は、「”どう、美味しい?”などと、旦那さんやお子さんに聞くのもやめてください。」という風なアドバイスをすることもあります。

なぜならそこには、(私の父のように)「美味しいと言って欲しい!」という、時に圧力となるような、期待する気持ちがあるからです。


人は期待をして裏切られたときに、感情が乱れてしまいます。そしてその感情の乱れが家族に移り、家族全体に閉塞感が広まっていってしまうのです。


なので、子供たちが食べて「美味しい!と笑顔になっているというイメージを一生懸命ご飯をつくる。
だけど、実際に「美味しい!」などと言ってくれるような結果は期待しない。


そのような気持ちが大切です。

要点まとめ

いかがでしたか?

「食べられなくてどうしよう」という風に不安を募らせるよりも、「食べられなくても大丈夫だよ」という風なおおらかな態度でいてくれた方が、結果的に子供たちはご飯を食べられるようになっていきます。

ぜひ、参考にしてみてくださいね。


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